比較の意義について:経済学の立場から

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  • ヒカク ノ イギ ニ ツイテ ケイザイガク ノ タチバ カラ

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抄録

「比較」が豊かな成果をもたらしうるということは経済学では必ずしも自明ではない。しかし,筆者は,少なくとも移行期分析に関しては,比較はなお有効な方法であると考えている。宇野派の理論家山口重克の議論をヒントとして筆者が考案した比較方法論は,「市場の論理(商品・貨幣・資本の論理)」が貫徹しようとする強い力を前提としながら,それが他の要因によって阻害される側面に注目して,そのことが,ある領域や時代ごとにいくつかの型を生み出すと考え,その型を比較しようとするものである。筆者の方法がまず第一に適用される領域は,政治のダイナミズムが結果に大きな違いをもたらすような短期的問題である。他方筆者は,長期的問題も筆者の方法論が適用できると考える。その場合は,近代国家の枠を超えたより広い領域どうしの比較を行う「比較後進性論」が意味を持ちうると考える。また,エマニュエル・トッド流の小領域比較論も長期比較論の一方法であろう。これらによってより学際的な開かれた比較論が構築できるであろう。

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