少量L-ドパ療法とsocial skill trainingによりコミュニケーション能力が著明改善した自閉性障害の1女児例

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  • 新井 幸佳
    国立病院機構南和歌山医療センターこころの相談室
  • 星野 恭子
    国立病院機構南和歌山医療センター小児科

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抄録

 症例は7歳女児, 自閉性障害と診断, Wechsler intelligence scale for children-IIIの結果, full scale intelligence quotient 57・verbal intelligence quotient 58・performance intelligence quotient 64, 特別支援学級に所属. 初診時こだわりが強く会話はほとんどできなかった. 受診1カ月後から前頭葉機能改善を目的に少量L-ドパ療法開始, 2カ月後から心理士がsocial skill training (SST) 開始. <br> 初回は同じ質問が多く会話が困難, 視線が合わず無表情であったが, 2回目以降目線を合わせた会話ができ, 4回目頃からやり取りが可能となる. 課題に集中でき物事への意欲も向上. 現在は語彙が増え, 喜怒哀楽を表現できる等コミュニケーションの幅は広がっている. 1年半後の知能検査は改善し, 2年後の神経学的診察所見の改善を認めた. また, 保護者の児への理解も深まった. <br> 本児の変化は, 少量L-ドパ療法とSSTの併用により前頭葉症状を含めた広範囲の高次脳機能が改善したことによると考えられ, 自閉性障害の社会性の改善に有用な治療であると考えられた.

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 47 (1), 55-56, 2015

    一般社団法人 日本小児神経学会

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