神経ペプチドCGRPによる皮膚免疫制御

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タイトル別名
  • Calcitonin gene-related peptide is an important regulator of cutaneous immunity

抄録

【目的】神経系と免疫系は共通のリガンドや受容体を介して相互作用し, 生体の恒常性を維持している. CGRP (calcitonin gene-related peptide) は, そのような相互作用を介在する神経ペプチドの一つであり, 神経系において痛覚伝達や血管平滑筋の弛緩といった作用を有する一方, 免疫系においてもT細胞の増殖阻害など様々な作用が報告されている. そこでわれわれはCGRP受容体構成タンパク質であるRAMP1 (receptor activity–modifying protein 1)を欠損させたマウスを作製し, CGRPが2,4,6-trinitrochlorobenzene (TNCB)誘発接触過敏反応を抑制すること, fluorescein isothiocyanate (FITC)誘発接触過敏反応を亢進することを明らかにしている. そこで今回, その制御機構を解明した.さらに神経系の異常に伴うCGRP量の変化が皮膚アレルギー応答性を変化させることも示した. <br>【方法】RAMP1欠損マウスや精神的ストレス暴露マウス,化学物質暴露マウスにTNCBまたはFITCを塗布して感作を行い, 皮膚炎症を誘導した. さらにそのメカニズムを抗原提示細胞やT細胞に着目して検討した.<br>【結果】CGRPは抗原提示細胞におけるCCR7の発現を抑制することで, リンパ節への遊走を抑制していることが示された. さらにT細胞分化をTh2側に偏らせることで皮膚免疫を制御していることも示された. 加えて,新生児期に化学物質を塗布することでCGRP含有知覚神経の伸長が見られ,この神経系の異常がCGRP産生量の変化を介して皮膚炎症を制御することも明らかとなった.これらの結果から, CGRPは生体内の皮膚免疫における重要なレギュレーターと考えられる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680523280128
  • NII論文ID
    130005008630
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.ms2-3.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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