アナターゼ型ナノサイズ二酸化チタニウムの肺組織および培養マクロファージへの影響-ルチル型との比較検討-

DOI
  • 沼野 琢旬
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野 株式会社DIMS医科学研究所
  • 徐 結苟
    名古屋市立大学津田特任研究室
  • 二口 充
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 深町 勝巳
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 清水 秀夫
    名古屋市立大学医学研究科共同研究室
  • 古川 文夫
    株式会社DIMS医科学研究所
  • 酒々井 眞澄
    名古屋市立大学大学院医学研究科分子毒性学分野
  • 津田 洋幸
    名古屋市立大学津田特任研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of anatase type nanosized titanium dioxide particles on the rat lung and cultured macrophages -comparative study with rutile type-

抄録

【背景と目的】化粧品、食品、塗料などに用いられているナノサイズ二酸化チタニウム(nTiO2)は吸入曝露による健康被害が懸念されている。nTiO2は主にルチル型とアナターゼ型に分けられ、これまでに我々は、ルチル型nTiO2に肺発がんプロモーション作用があること、そのメカニズムに、マクロファージの誘導、酸化ストレス、MIP1αが関与すること、さらにMIP1αがヒト肺がん細胞株 (A549) の増殖を促進することを見出した。本研究ではアナターゼ型 nTiO2の肺内噴霧による肺組織および培養マクロファージに対する影響をルチル型と比較検討した。<br>【材料と方法】雌SDラットにアナターゼ型およびルチル型nTiO2生食懸濁液を1回あたり500 ug/mLの濃度で0.5 mL肺内噴霧した。2週間に計8回噴霧した後に屠殺剖検した。肺組織を取り出し、MIP1αの発現量および8-OHdGレベルを測定し、肺組織に誘導されたマクロファージの数を定量した。nTiO2を初代培養マクロファージに曝露させ、その培養上清によるA549の細胞増殖率を測定した。<br>【結果と考察】アナターゼ型nTiO2投与群の肺組織におけるMIP1α発現量およびマクロファージ誘導数は、対照群に比べて有意に上昇していたが、ルチル型nTiO2投与群より有意に低下していた。有意差は無いが、8-OHdG量にも同様の傾向を認めた。電顕では、いずれの型も肺胞マクロファージに貪食されていた。ルチル型nTiO2で処理したマクロファージの培養上清はA549細胞の増殖率を有意に増加させたが、アナターゼ型では有意差は無いが増殖率の増加傾向を示した。アナターゼ型はルチル型と比べて肺組織および培養マクロファージへの影響は弱いことが示唆された。影響の違いはアナターゼ型とルチル型との結晶構造の違いに依存している可能性がある。よってnTiO2のヒト健康への影響を考えた時、その形状を考慮する必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680523372928
  • NII論文ID
    130005008659
  • DOI
    10.14869/toxpt.39.1.0.o-32.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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