PXR活性化薬物の併用はCAR依存的なマウス肝細胞増殖を増強する

DOI
  • 志津 怜太
    東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野
  • 吉成 浩一
    東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野
  • 辺野喜 智
    東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野
  • 児玉 進
    東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野
  • 山添 康
    東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野

書誌事項

タイトル別名
  • PXR activator enhances CAR-dependent hepatocyte proliferation in mice

この論文をさがす

抄録

【目的】Constitutive androstane receptor (CAR)およびpregnene X receptor (PXR)は、肝に高発現し生体異物により活性化される核内受容体である。両受容体は薬物代謝酵素など異物除去と関連する種々の遺伝子の転写制御に中心的に働いている。また、両受容体は類似したプロモーター配列に結合するため、多くの標的遺伝子を共有し、上記の遺伝子発現において協調的に機能していると考えられている。CARは、薬物代謝酵素の誘導に加えて、齧歯動物における肝細胞増殖にも働くことが知られており、CAR活性化作用が化学物質のヒトでの安全性評価において問題となっている。一方、PXRと肝細胞増殖に関する報告はほとんどなく、肝細胞増殖作用における両核内受容体の協調性は明確ではない。本研究では、CARとPXRが、薬物代謝酵素の遺伝子発現と同様に、肝細胞増殖作用においても協調的に機能しているか否かを検討した。<br>【方法】8週齢の雄性C57BL/6系マウスにCAR活性化薬物のTCPOBOP (3 mg/kg)とPXR活性化薬物のPCN (100 mg/kg)を単独または同時に腹腔内投与し、4、24、48時間後の肝臓を試料とした。細胞増殖は抗Ki-67抗体および抗PCNA抗体を用いた免疫染色により評価した。細胞周期関連遺伝子のmRNA発現レベルは定量的逆転写PCR法により測定した。<br>【結果・考察】TCPOBOP処置24および48時間後においてKi-67またはPCNA陽性細胞数の増加、細胞周期関連遺伝子発現レベルの増加が認められ、CARの肝細胞増殖作用が確認された。一方、PCN処置ではいずれの時間においてもそのような変化は認められなかった。しかし、PCNをTCPOBOPと併用処置した場合には、24および48時間後における細胞増殖陽性細胞数や細胞周期関連遺伝子の発現レベルは、TCPOBOP単独処置時に比べて増加した。以上の結果から、マウス肝において、PXRの活性化は、単独では細胞増殖を引き起こさないがCARによる細胞増殖作用を増強させる可能性が示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ