脛骨回旋変位量の測定とその再現性の検討

DOI

Abstract

【はじめに】膝関節屈伸運動に伴い脛骨の回旋が起こることは知られている。臨床上、脛骨回旋運動が障害されることにより膝関節の可動域制限を有する症例を多く経験する。膝関節可動域制限を有する症例において脛骨回旋を評価・治療することは重要であると考える。そこで今回、脛骨の回旋を客観的に測定するため大腿骨・脛骨にランドマークを三点とり余弦定理を用いて脛骨の回旋変位量を客観的に数量化する測定法を考え、その再現性について検討した。<BR>【対象】検者は当院理学療法士2名(経験年数2年目、5年目)、被験者は膝関節疾患や下肢に疼痛を有さない健常者5名、平均年齢25.4歳である。<BR>【方法】ランドマークは大腿骨内側上顆、大腿骨外側上顆、脛骨粗面をそれぞれ点A・B・Cとして、測定肢位は端坐位にて足底は接地した状態で膝関節90°屈曲位とした。検者は大腿骨の代償がでない範囲で脛骨を他動的に回旋させた。内外旋した状態で保持し各ランドマークにポイントをつけた。測定にはアウトサイドキャリパー(以下外パス)と定規を使用し辺AB、BC、ACの各辺長を測定した。測定は3回行い、日を変えて2日間測定した。測定値から∠Bの角度を求めて検者内と検者間再現性は級内相関係数にて信頼性を求めた。また脛骨内旋位・外旋位での∠Bの角度をt検定にて比較した。<BR>【結果】膝関節90°屈曲での脛骨内旋、外旋位での検者内再現性は検者1がそれぞれICC (1.3)= 0.93、0.96、検者2がそれぞれICC (1.3)= 0.68、0.59であった。検者間再現性はそれぞれICC (2.3)= 0.16、0.24であった。内旋位と外旋位での測定結果から求めた三角形ABCの∠Bをt検定にて検定した結果有意差が認められた。<BR>【考察】検者1では高い再現性が得られたが検者2では高い再現性を得ることはできなかった。検者によって再現性に違いがみられたのは触診の習熟度と経験年数の違いと考えられる。検者間で低い再現性となったのは姿勢と脛骨の内外旋角度の再現性、またランドマークのズレが要因となっていると考えられる。今回ランドマークの設定は触診の容易な部分を重視して決定したが、大腿骨内外側上顆は一点に定めることが難しいためランドマークの位置にズレが生じやすかった。測定の精度を上げるためには脛骨内外旋角度を設定することやランドマークのズレを少なくするために触診技術の向上が必要であると考えられる。今後、触診に対して習熟する方法の再検討やより簡易で再現性のある方法も検討していきたい。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680540928896
  • NII Article ID
    130005012278
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.a1088.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top