脳出血患者における内科的治療患者と外科的治療患者の動作能力推移の検討

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抄録

【目的】急性期脳血管障害の予後予測の指標として用いられる二木の報告は、内科的治療を行なった患者を対象とした研究であり、外科的治療を行なった患者に対する予後についての報告は少ない。本研究の目的は、脳出血患者の内科的治療患者と外科的治療患者において、起居動作能力を経時的に評価し、その推移を探り、動作能力から比較及び予後を検討することである。<BR>【対象】2000年4月~2004年7月の間、脳出血患者で理学療法開始が発症から10日以内であり、発症から30日以上在院した43例を対象とした。対象の内訳は男性34例、女性9例、平均年齢59.3±12.9歳、内科的治療30例、外科的治療13例である。<BR>【方法】当院で使用している脳血管障害早期理学療法評価表を後方視的に調査した。内科的治療群(以下内科群)及び外科的治療群(以下外科群)の2群間の動作能力の推移を検討するために発症から10日目、20日目、30日目の動作能力を坐位不可能、坐位可能、立位可能、歩行可能の4つに分類し、経時的な動作能力の変化について検討した。また、10日目、20日目、30日目のそれぞれの動作能力について内科群と外科群を比較した。統計処理は、χ2検定を用い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】10日目における4つの動作分類(坐位不可、坐位可能、立位可能、歩行可能)では、内科群は、46.7%、46.7%、6.6%、0%であり、外科群は、84.6%、7.7%、7.7%、0%であった。20日目では、内科群は、23.3%、36.7%、26.7%、13.3%であり、外科群は、53.8%、30.8%、0%、15.4%であった。30日目では、内科群は、13.3%、30.0%、26.7%、30.0%であり、外科群は、30.8%、38.5%、7.7%、23.0%であった。10日目の動作能力において2群間に有意差が認められた(p<0.05)。また、両群において10日目坐位不可である患者の動作能力推移は、20日目において坐位不可(内科群50.0%、外科群63.6%)、坐位可能(内科群42.8%、外科群36.4%)、立位可能(内科群7.2%、外科群0%)であり、30日目では、坐位不可(内科群28.5%、外科群36.3%)、坐位可能(内科群28.5%、外科群45.4%)、立位可能(内科群28.5%、外科群9.1%)、歩行可能(内科群14.5%、外科群9.1%)であった。<BR>【考察】動作能力の達成率では、30日目において内科群が5~6割の患者が立位可能であるが外科群は3割程度であり、短期的な目標設定を考えると2群において差異があると考えられる。また、10日目の動作能力では、2群で有意差を認め、外科的治療患者の術後管理による影響があると考えられる。また、10日目に坐位不可能な2群の動作能力推移に類似性がある点は興味深い。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), B0879-B0879, 2005

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564927616
  • NII論文ID
    130005012482
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.b0879.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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