スロートレーニングにおける血圧及び心拍数変動の検討

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抄録

【はじめに】<BR> 近年スポーツやヘルスプロモーションにおいて、スロートレーニング(以下、スロトレ)が注目されている。筋を弛緩させずにトレーニングを実施し、成長ホルモンの分泌が促進され、低強度の負荷でも筋力増強効果は高いとされている。これらの特性は高齢者や障害者に対しても有用である。しかし、スロトレ中の血圧及び心拍数の変動について検討した報告は少ない。高齢者や障害者に適応するうえでこれらの検討は必要不可欠である。そこで本研究では、スロトレにおける血圧及び心拍数変動について検討することを目的とした。<BR>【対象及び方法】<BR> 対象は健常若年男性12名(平均年齢24.4±2.7歳)とした。通常のスクワット動作(以下、通常運動)とスロトレのスクワット動作(以下、スロトレ運動)における血圧及び心拍数を測定した。通常運動は両脚にて膝関節完全伸展位から屈曲90度までの範囲をBaumらの報告を考慮し、屈曲3秒、伸展3秒、休息5秒の割合で10回繰り返した。スロトレ運動の肢位は通常と同様で、膝関節完全伸展させない等、石井らが推奨する方法に基づき実施した。通常運動から開始するものとスロトレ運動から開始するものを無作為に選出した。なお、通常運動とスロトレ運動には1週間以上の間隔を設けた。血圧の測定には水銀式血圧計(サンデン医科工業社製)、心拍数の測定は医用テレメーター(日本光電工業社製 WEP-4202)を用い、それぞれ運動開始前、運動終了直後、運動終了1分後に測定した。また、それぞれの自覚的運動強度についてVisual Analog Scale(以下、VAS)を用いて調査した。統計処理は、血圧及び脈拍の変動の比較はBonferroni法に基づき有意水準0.017とし、VASの比較にはpaired t-testを用い有意水準は0.05とした。<BR>【結果】<BR> 血圧の変動については、全てにおいて有意な変化は認めなかった。心拍数の変動については通常運動、スロトレ運動ともに運動開始前、運動終了1分後に対し、運動終了直後で有意に増加した(通常運動P<0.0001、スロトレ運動P<0.001)。通常運動とスロトレ運動間における血圧及び心拍数の変動は全てにおいて有意差は認めなかった。VASについては、スロトレ運動が有意に大きい値を示した(P<0.05)。<BR>【考察】<BR> 本研究結果より、血圧及び心拍数の変動は運動終了直後の心拍数の増加のみで、通常運動とスロトレ運動に有意な差は認めなかったことから、筋の等尺性収縮要素が強いと思われるスロトレ運動においても、特異的な血圧及び心拍数の上昇は起こらないことが示唆された。しかし、本研究では比較的低負荷であったため、今後は負荷量による影響や、高齢者や障害者を対象とした検討が必要である。また、VASにおいては、スロトレ運動が有意に大きな値を示したことからスロトレ運動は通常運動よりも主観的な疲労感が強いことが示唆され、これも臨床応用する上で重要な知見であると考える。

収録刊行物

  • 日本理学療法学術大会

    日本理学療法学術大会 2006(0), A0655-A0655, 2007

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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