筋膜リリースとストレッチングを用いた理学療法効果の比較検討

DOI
  • 来間 弘展
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 竹井 仁
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 新田 収
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 古川 順光
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 信太 奈美
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 神尾 博代
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 大矢 祥平
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 渡邉 修
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 柳澤 健
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科

Abstract

【目的】理学療法手技の中に筋膜リリース(myofascial release: MFR)があるが、その効果に対する報告は少ない。そこで本実験ではMFRの効果を検討したので報告する。<BR>【方法】対象は健常人40名、平均年齢21.0歳。本実験は首都大学東京倫理委員会の承認を受け、すべての対象者にインフォームドコンセントを行い了承を得た。対象者を(1)大腿四頭筋部MFR群(2)ハムストリングス部MFR群(3)大腿四頭筋ストレッチ群:腹臥位 (4)コントロール群に無作為に分類した。介入課題は各々8分とした。それぞれの課題施行前後に自動膝関節屈曲可動域(A-ROM)、他動膝関節屈曲可動域(P-ROM)、筋硬度、反応時間を測定した。筋硬度は硬度計(Type FP: Asker)を膝裂隙から10cm,15cm,20cm部の大腿四頭筋にて測定した。反応時間は筋電図(Polygraph RM-7000)を用い、膝関節伸展時の大腿直筋のPremotor Time(PMT)、Motor Time(MT)、Reaction Time(RT)を測定した。統計解析はSPSSを使用し、介入前後の比較にt検定を、手技の違い二元配置分散分析、多重比較検定(LSD法)を使用し、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】介入前後は以下の通りであった。A-ROM:(1)前140.0°後144.1°(2) 前140.1°後143.2°(3) 前141.5°後145.0°(4) 前140.8°後141.3°で(1)(2)(3)において有意に増加した。P-ROM:(1)前148.3°後152.0°(2) 前148.2°後151.4°(3) 前149.0°後148.4°(4) 前149.1°後151.3°で(1)(3)において有意に増加した。筋硬度はすべて介入前後による有意差はなかった。PMTは(1)前0.27sec後0.21sec (2) 前0.27sec後0.20±sec (3) 前0.24sec後0.23sec (4) 前0.25sec後0.23secで(1)(2)において有意に短縮した。MTは(1)前0.18sec後0.18sec (2) 前0.16sec後0.14sec (3) 前0.15sec後0.14sec (4) 前0.16sec後0.17secで (2)において有意に短縮した。RTは (1)前0.44sec後0.38sec (2) 前0.41sec後0.34sec (3) 前0.39sec後0.37sec (4) 前0.41sec後0.39secで(1)(2)において有意に短縮した。介入課題による差は、A-ROMにおいて(4)と(1)(2)(3)間での有意差を認め、P-ROM、筋硬度は有意差を認めなかった。反応時間はPMTで(2)(3)間、MTで(2)(4)間、RTで(2)と(3)(4)間で有意差を認めた。<BR>【考察】MFR、ストレッチとも関節可動域改善、特に自動関節可動域改善に寄与することが示された。また反応時間の改善に関してはMFRにおいてのみ認められた。MFRは深筋膜と筋との滑動性を改善し、筋の運動性が向上したと考えられた。<BR>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680544233984
  • NII Article ID
    130005013897
  • DOI
    10.14900/cjpt.2006.0.c0259.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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