最小侵襲(minimally invasive surgery:MIS)人工股関節全置換術後の股関節屈曲筋力の推移  [in Japanese]

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Abstract

【目的】<BR>当院では従来の筋を切離する人工股関節全置換術(以下、THA)と筋を切離しない最小侵襲(以下、MIS)によるTHAを行っている。我々は第28回九州PT・OT合同学会でMIS-THAは従来法THAに比べ股関節外転筋力の回復が早く、歩行獲得も早いことを報告した。しかし、一方でMIS-THAでは股関節屈曲筋力の回復が遅延する印象をもった。そこで今回、股関節屈曲筋力の経時変化と歩行獲得時期との関係について調べたので報告する。<BR>【対象】<BR>平成17年8月から平成18年3月までに当院でTHAを施行した患者のうち調査可能であった女性31例(31関節)。うち前側方侵入のMIS-THAを施行した18例をMIS群、後方侵入の従来法THAを施行した13例を従来法群とした(平均年齢:MIS群67.3歳±7.2、従来法群59.2歳±7.3)。<BR>【方法】<BR>両群の術前、術後1週、2週、3週の股関節屈曲筋力をハンドヘルドダイナモメーター(以下、HHD)を用いて測定した。測定は端座位で大腿遠位にHHDを当て、等尺性運動による筋出力を測定し、得られた値より体重比を求めて股関節屈曲筋力とした。さらに経時変化を比較するため術後の値を術前の値で除して向上率を求めた。また、両群の術後1本杖歩行獲得までの期間を調査した。<BR>【結果】<BR>股関節屈曲筋力の平均値を術前、術後1週、2週、3週の順に示すと従来法群は16、16、20、23(kgf/kg)、 MIS群は17、15、16、20(kgf/kg)であった。さらに術後の向上率は従来法群で11、43、61(%)、MIS群で-4、3、29(%)であった。両群の経時変化に有意な差はみられなかったが、従来法群は術後1週で向上するのに対し、MIS群は術後2週で向上を示した。また、術後1本杖歩行獲得までの平均期間はMIS群9.6日、従来法群16日で有意差を認めた(p<0.001)。<BR>【考察】<BR>我々は前回、MIS-THAは術後1週、従来法THAは術後2週で股関節外転筋力は回復したと報告した。しかし今回、股関節屈曲筋力は、MIS-THAでは術後2週、従来法THAでは術後1週で回復し、外転筋力と相反する結果となった。MIS-THAの場合、股関節の前方より大腿筋膜張筋と中殿筋の筋間を裂き最小の侵襲で行うため、前方の軟部組織および大腿筋膜張筋が伸張され、微細な損傷が生じている可能性がある。よって、股関節屈曲筋力の回復が遅延したと考える。一方、従来法THAは股関節の後方より、外旋筋群を切離するため、股関節屈曲筋力への影響は少なく、早期の回復が可能であったと考える。今回、THA後の股関節屈曲筋力の回復と歩行獲得時期との関連づけはできなかった。しかし、股関節屈曲筋力の回復が遅延することは、歩行獲得には影響を及ぼさないものの、歩容に与える影響はあると予測しており、今後の課題として調査を継続していきたい。

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2006(0), C0939-C0939, 2007

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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