在宅パーキンソン病患者の1日の身体活動量の評価方法について

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抄録

【目的】パーキンソン病患者(以下PD)では、その症状の進行や精神的緊張などにより一日の身体活動量が低下したり変動したりする。したがって、在宅PDの支援を展開するには、実際の生活場面での活動状況や生活構造を評価し、その経時的変化を的確に把握することが重要となる。そこで本研究では、在宅PDの24時間の身体活動を定量的かつ定性的に把握する方法として、三軸加速度計を用いた評価方法を開発し、その有効性を明らかにすることを目的とした。 <BR>【方法】対象は在宅PD7名とした。内訳は、平均年齢68.1±4.2歳、Hoehn&Yahrのstage(以下stage)II度3名・III度3名・IV度1名、FIMの得点は平均97.3±27.0点であった。身体活動の評価は、MicroStone社製三軸加速度計を腹部に固定し、x・y・z加速度から合成成分を算出し、時間で積分した24時間分の総力積(kgm/day)を身体活動の量的指標とした。同時にソリッドブレインズ社製“生活活動度計(A-MES)”を用い、1日の中で臥位・座位・立位・歩行の各姿勢動作が占める時間数、および姿勢変換回数と寝返り回数を測定し、身体活動の質的指標とした。 <BR>【結果】対象者の平均活動量は、総力積:1.67±0.64kgm/dayであった。各姿勢の占める平均時間数は、臥位:7.7±1.8時間、座位:10.4±3.0時間、立位3.6±1.9時間、歩行3.0±2.2時間と、座位が43.3%を占めていた。姿勢変換の総回数平均は786±326回、臥位-座位の変換では458±281回、座位-立位の変換では282±178回と、臥位-座位間の姿勢変換が約60%を占めていた。また、寝返り回数は62±77回であった。総力積と他の変数間では、stageとの相関は認められなかったものの、FIMとの間では有意な相関(r=0.707)を認めた。同様に、総力積と歩行時間との相関(r=0.905)は認められたが、他の姿勢時間や姿勢変換回数との間には相関を認めなかった。なお、立位時間と座位時間(r=-0.914)、臥位時間とstage(r=0.772)の間には相関が認められた。 <BR>【考察】我々が若年成人と一般高齢者を対象として行った先行研究の結果と比較すると、24時間の総力積値は若年成人で2.04±0.29kgm/day、一般高齢者で1.65±0.40kgm/dayであったことから、本研究のPDの総力積値は一般高齢者と同程度であった。対象者が7名と少なかったため、総力積とstageの関連性まで言及できなかったが、総力積と歩行時間並びにFIMとの間に相関が認められたことから、今回のような三軸加速度計と生活活動度計を用いて在宅PDの身体活動を量的・質的に評価することの可能性が示されたものと考える。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2007 (0), B0673-B0673, 2008

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680545029888
  • NII論文ID
    130005015253
  • DOI
    10.14900/cjpt.2007.0.b0673.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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