アルコール依存症患者の身体活動度と睡眠度に関する研究:デイケアに通院するアルコール依存症患者への歩行運動介入  [in Japanese]

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Author(s)

    • 黒澤 和生
    • 国際医療福祉大学小田原保健医療学部理学療法学科
    • 野口 義春
    • 医療法人社団慈友会 慈友クリニック精神科・アルコール医療
    • 米沢 宏
    • 医療法人社団慈友会 慈友クリニック精神科・アルコール医療

Abstract

【目的】デイケアに通院中の中長期断酒中アルコール依存症患者20例の睡眠度調査を行ない,その特徴,傾向を把握することと,20例中の身体活動度と睡眠度の関係を調べること,およびアルコール依存症患者7名に4週間の歩行運動介入を行ったときの睡眠度への影響を縦断的に検討することである.<BR>【方法】対象は,都内Jクリニックのデイケアに通院中の,アルコール依存症と診断された断酒期間中の男女計20名,男16名,女4名,平均年齢54.6±8.3歳,平均断酒期間33.6±35.0ヶ月(1ヶ月~114ヶ月)であった.研究1として,アルコール依存症患者の5日間の身体活動度と睡眠度の測定を行なった.研究2では,アルコール依存症患者への4週間の歩行運動介入による身体活動度と睡眠度の変化を調べた.両研究ともに小型加速度計Actigraph(アクチグラフ;米国A.M.I社製;以下ACT)からのデータを解析し以下の指標を得た.平均身体活動度[カウント/min],平均睡眠時間[min],睡眠効率[%],睡眠潜時(寝つきまでの時間)[min],睡眠時覚醒時間[min].また,介入前後の各指標の平均値の差の比較と,総合的評価として睡眠効果判定をおこなった.<BR>【説明と同意】本研究は,国際医療福祉大学倫理委員会の研究倫理審査において承認を得た(承認番号08-53,2008).対象者へは測定前に,十分な説明を行い,研究で起こる可能性のあるリスクについて説明し,同意後であってもいつでも研究への参加を中止できること,参加中止をした場合でもいかなる被害をも受けないこと,得られたデータは研究以外では使用しないことを告げ,参加同意を得られた者には同意書に署名を得て協力をお願いした.<BR>【結果】5日間の身体活動度と各種睡眠度指標の平均値は,身体活動度(PA)200.3±33.2[カウント/min],睡眠時間(ST)362.1±118.9[min],睡眠効率(SE)90.1±7.7[%],睡眠潜時(SL)28.6±96.2[min],睡眠時覚醒時間(WS)39.3±32.4[min]であった.アルコール依存症患者群と健常者群の比較において,睡眠時間と睡眠効率,および睡眠時覚醒時間に差がみられた.介入群は対照群に比べ睡眠効果判定による改善度が高かった.歩行運動介入群で平均改善度得点は,1.86±0.69[点],対照群で平均改善度得点は,0.57±0.53[点]となり歩行介入群に有意な改善がみられた(p<0.05).また,介入群には対照群に比べて身体活動度の減少,睡眠潜時の増加という変化があった.<BR>【考察】アルコール依存症患者の健常者と比較した特徴的な睡眠度の低下は従来の報告と同様であり,アルコール依存症の睡眠障害の特徴を確認できた.総合的に睡眠を評価した睡眠効果判定による改善度は高く,歩行運動介入による睡眠改善効果が考えられた.運動介入群には,介入後身体活動度の減少と睡眠潜時の延長が生じ,運動の睡眠への影響が推察された.<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究では,デイケアに通院中のアルコール依存症患者に対して,縦断的に4週間の歩行運動介入を施行して身体活動度と睡眠度の関係について調べた.このような縦断的な運動介入研究は今までに報告がない.睡眠障害者への運動療法が睡眠改善に効果的な影響を及ぼす可能性が示唆された.

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2010(0), EbPI2433-EbPI2433, 2011

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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