林分構造の違いが蒸発散に及ぼす影響の定量的評価 -Penman-Monteith式を用いた感度分析-

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タイトル別名
  • Effects of Forest structure on the Evapotranspiration

抄録

立木密度や葉面積、林冠高などの林分構造が空気力学的コンダクタンスを介して蒸発散量に与える影響を定量的に明らかにするため、Penman-Monteith式を用いた感度分析を行った。愛知県瀬戸の針広混交林にPenman-Monteith式を適用し、林分構造情報のみを他の様々な森林の値に変化させたところ、日蒸発散量が最大で約6.5倍増加した。立木密度と葉面積の減少と林冠高の上昇は、林冠の粗度の増加を通して蒸発散量を減少させ、その影響は立木密度、葉面積、林冠高の順で大きかった。これらの点から、多地点の森林の蒸発散量の評価や、森林の生態系機能の発揮に向けた森林管理手法の検討の際に、林分構造、とくに林冠高の違いが蒸発散量に及ぼす影響について十分に考慮する必要があることが示された。森林管理において、間伐は立木密度と葉面積を低下させるため、蒸発散量を増加させる効果をもたらすと考えられるが、立木密度と葉面積の低下は二次的に空気力学的林冠高を低下させ、双方の影響が相殺される可能性も考えられる。そのため、今後は個々の林分構造の影響のみならず、各要素間の相互関係についても考慮する必要があることが示された。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680683643776
  • NII論文ID
    130005048977
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.802.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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