発達性読み書き障害児を対象としたバイパス法を用いた仮名訓練

  • 宇野 彰
    LD・Dyslexia センター 筑波大学大学院人間総合科学研究科
  • 春原 則子
    LD・Dyslexia センター 目白大学保健医療学部
  • 金子 真人
    LD・Dyslexia センター 帝京平成大学メディカル学部
  • 後藤 多可志
    LD・Dyslexia センター 目白大学保健医療学部
  • 粟屋 徳子
    LD・Dyslexia センター
  • 狐塚 順子
    LD・Dyslexia センター 筑波大学大学院人間総合科学研究科 武蔵野大学人間科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Kana Training for Children with Developmental Dyslexia Using the By-Passing Method
  • ―障害構造に即した訓練方法と効果および適応に関する症例シリーズ研究―
  • —Case Series Study Based on the Mechanism Underlying the Disorder, its Effectiveness, and Adaptation—

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抄録

ひらがな,もしくはカタカナ1モーラ表記文字に関して1年間以上習得が困難であった発達性読み書き障害児36名を対象として,音声言語の記憶力を活用した訓練方法を適用した.全例全般的知能が正常で,かつReyのAVLT (Auditory Verbal Learning Test)の遅延再生課題にて高得点を示していた小学生である.また,訓練開始前に練習をするとみずからの意思を表明していた児童,生徒である.訓練は,次に示す3段階にて実施した.すなわち,1)50音表を音だけで覚える,2)50音表を書字可能にする,3)文字想起の速度を上げる,であった.また,4)児童によっては拗音の音の分解練習を口頭で実施した.その結果,平均7週間以内という短期間にて,ひらがなやカタカナの書字と音読正答率が有意に上昇し,平均98%以上の文字が読み書き可能になった.さらに,1年後に測定したカタカナに関しては高い正答率が維持され,書字の反応開始時間も有意に短縮した.今回の症例シリーズ研究にて,良好な音声言語の記憶力を活用した練習方法の有効性が,正確性においても流暢性においても示されたのではないかと思われた.

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参考文献 (10)*注記

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