リアルタイム画像処理による大腸小腫瘍性病変の診断

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  • Diagnosis of Small Colonic Neoplasms Using Real-Time Image Processing

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抄録

比較的小さく,隆起成分に乏しい大腸腫瘍性病変の拾い上げ診断の向上を目的として画像処理を検討した。表面型癌の画像に対し周波数解析を行ってバンドパスフィルターを設計し,リアルタイム処理を施行したところ,わずかな凹凸や微細構造が強調された。画像の強調処理の有用性は,リアルタイムでの臨床使用で,客観的に評価される必要が指摘されている。そこで当処理を多数例に長期間施行し,処理しない検査と病変診断率に差がないか検討し,処理の客観的な評価を試みた。当科における大腸内視鏡検査2,208回(1989年8月より1992年8月まで,処理群1,052回,対照群1,156回)を対象とし,両群で検査背景をなるべく一致させて比較検討したところ,診断されたポリープ数は,検査1回につき対照群1.48病巣に対し,処理群では1.75と増加した。大きさ,形態でみると,無茎性で5mm以下の病変で有意な増加を認めた。病理組織学的診断が可能であったものでは,どの組織型においても病変診断数の有意な増加を認めた。5mm以下の病変でも,症例の少ない早期癌を除き同様の傾向を認めた。形態では6mm以上10mm以下の扁平病変で,対照群29病巣に対し処理群60と有意差を認めた。以上より,当処理は下部消化管内視鏡検査における小さな表面型病変の拾い上げ診断に有用と考えられた。

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