高卒者の初職地位達成における雇用主の選抜メカニズムに関する研究

• 小川 和孝

  東京大学大学院 日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名

• Transition from School to Work and Selection by Employer:
• 高卒者の初職地位達成における雇用主の選抜メカニズムに関する研究 : 学校経由の就職の効果についての再検討
• コウソツシャ ノ ハツ ショク チイ タッセイ ニ オケル コヨウシュ ノ センバツ メカニズム ニ カンスル ケンキュウ : ガッコウ ケイユ ノ シュウショク ノ コウカ ニ ツイテ ノ サイケントウ
• ──学校経由の就職の効果についての再検討──
• Reexamining the Impact of Institutional Linkages on the Japanese Labor Market

抄録

本研究の目的は，高卒者の初職への入職に関して，高卒者側と雇用主側の双方の意思決定を区別した分析を行うことである。特に，これまで高卒就職の重要なメカニズムとして指摘されてきた，学校推薦の仕組みについて，雇用主が高卒者を採用する上で重視しているのかどうかを，「2005年社会階層と社会移動全国調査」によって検証する。<BR>　分析に際しては，個人データから高卒者と雇用主の潜在的な意思決定を同時にモデル化する，partial observability プロビットモデルと呼ばれる手法を用いて，高卒者側と雇用主側のそれぞれの振る舞いに影響する変数を区別する。<BR>　分析の結果，初職が正規雇用と大企業・官公庁の場合において，学校推薦の入職であることは，雇用主の判断にプラスに影響していた。また，経済不況後に入職したサンプルに限定した分析では，初職が大企業・官公庁の場合には学校推薦は雇用主の評価に影響を持たなくなっていたが，正規雇用の場合には依然としてプラスの影響が見られた。これらの結果は，高校段階において形成される技能の特定性が低い日本では，学校推薦のように観察されやすい属性が，高卒者の能力評価の重要なシグナルとして実際に雇用主に対して働いていることを示唆する。

収録刊行物

• 教育社会学研究

  教育社会学研究 94 (0), 195-215, 2014

  日本教育社会学会

キーワード

• 学校から職業への移行
• 制度的ネットワーク
• 雇用主による意思決定

詳細情報

• CRID: 1390282680373485440
• NII論文ID: 130005075273
• NII書誌ID: AN0005780X
• DOI: 10.11151/eds.94.195
• ISSN: 21850186
• ISSN: 03873145
• NDL書誌ID: 025492011
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I025492011
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可