老化と血管機能

  • 野間 玄督
    広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害病理研究分野心血管再生医科学部門広島大学病院未来医療センター診療講師
  • 木原 康樹
    広島大学大学院医歯薬保健学研究科循環器内科学教授
  • 東 幸仁
    広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害病理研究分野心血管再生医科学部門教授広島大学病院未来医療センターセンター長兼任

書誌事項

タイトル別名
  • Aging and vascular function

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抄録

要約:血管の老化には,狭義と広義とに分けて考える必要がある.狭義の老化は,加齢・暦年齢に伴う血管障害であり,広義の老化は,加齢に加えて生活習慣病,運動不足,閉経などに伴う総合的な血管障害である.いずれにせよ,血管障害は老化に伴う合併症の中心の一つである.血管障害は,器質的障害が出現する前に,血管内皮機能障害が出現する.近年,薬物・運動療法などによる循環器合併症の発症予防において,内皮機能をサロゲートマーカーとして用いて経時的にモニターすることの重要性が注目されつつある.血管内皮機能の評価法は模索されているが,非侵襲的なFMD やRH-PAT が中心となっている.まだ現時点においてはどの検査法が最適なる血管内皮機能評価法かの答えは出ていないが,予後予測因子としての内皮機能検査の有用性は確立されつつある.狭義であれ広義であれ,老化による血管障害は,ヒトの平均寿命のみならず,健康寿命をも低下させ,QOL,ADL を著しく低下させる.適切かつ正確な内皮機能を測定し,最適なる治療戦略を練ることによるアンチエイジングの新時代が始まりつつある.

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参考文献 (11)*注記

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