低濃度フルフラールが酵母の含硫アミノ酸合成に及ぼす影響

DOI Web Site Web Site 参考文献17件 オープンアクセス
  • 神名 麻智
    広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門
  • 松村 幸彦
    広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門

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タイトル別名
  • Effect of Low-concentration Furfural on Sulfur Amino Acid Biosynthesis in <i>Saccharomyces cerevisiae</i>
  • Effect of Low-concentration Furfural on Sulfur Amino Acid Biosynthesis in Saccharomyces cerevisiae

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抄録

木質系バイオマスからのエタノール生産は,主に前処理,酵素糖化,発酵の三つのステップを通る。前処理の中でも水熱前処理は廃液処理等の手間がかからない環境に優しい前処理としての期待が高い。しかしながら,水熱前処理はその処理中,後の酵母によるエタノール発酵を阻害する発酵阻害物質が生成することが知られている。近年,発酵阻害物質に関する研究は多くなされており,前処理で生成した発酵阻害物質を取り除く技術が開発されつつある。そのため,本研究では木質系バイオマスからのエタノール生産において,より実用化に即した,低濃度の発酵阻害物質の影響を解析することに着目した。発酵阻害物質の一つであるフルフラールの酵母に対する影響を調べるため,網羅的遺伝子発現解析を用いて行った。フルフラールによって発現量が変化した遺伝子の中から,含硫アミノ酸合成に関わる遺伝子に着目し,それらの中のいくつかがフルフラール非存在下と比べ,上昇していることを明らかにした。この結果から,低濃度フルフラール存在下においては,アミノ酸が生体内で枯渇したため,アミノ酸合成が進んでいると考えられた。そこで,アミノ酸を添加し,酵母に対する阻害影響を確認したが,フルフラールによる阻害影響はアミノ酸の添加によっても解消されなかった。本研究は,低濃度発酵阻害物質下での酵母の遺伝子発現変化を解析し,アミノ酸合成系が関与していることを明らかにした。これにより,木質系バイオマスから高効率にエタノールを生産していくための実用的な知見の一つを提供できた。

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