肺静脈を胸腔内で短く切離したにもかかわらず生じた左肺上葉切除後の左上肺静脈断端血栓の1例

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タイトル別名
  • A case of thrombosis in the left superior pulmonary vein stump after left upper lobectomy

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抄録

肺静脈断端血栓は,左上肺静脈切離断端に生じ,長い残存肺静脈が原因の1つとされている.今回,左上肺静脈を胸腔内で意識的に短く切離したにも関わらず,遠隔期に左上肺静脈断端血栓を生じた1例を経験したので報告する.症例は69歳男性.検診胸部異常陰影で発見された左肺上葉扁平上皮癌に対し,左肺上葉切除術及び縦隔リンパ節郭清を施行した(pT3N0M0-IIB, pm1).肺静脈断端血栓予防のため,左上肺静脈は左胸腔内でできるだけ短く切離した.術後補助化学療法(CDDP+GEM)を3コ―ス行った.術後7ヵ月の造影CTで左上肺静脈断端に12 mm大の陰影欠損を認め,肺静脈断端血栓症と診断した.抗凝固療法を行い,3ヵ月後の造影CTで血栓の消失を認めた.肺静脈断端血栓は,肺静脈を胸腔内で短く切離するだけでは予防できないと思われる.

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