心筋保護に工夫を要した4回目心臓手術の1症例

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  • A Surgical Case of Fourth Reoperation Using a Unique Technique of Cardioplegia

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抄録

CABG後の再手術において心筋保護の投与方法はしばしば問題とされる.症例は69歳女性,僧帽弁非直視下交連切開術(CMC),大動脈弁および僧帽弁置換術(DVR),冠動脈バイパス術(CABG)と3回の手術歴があり,僧帽弁の弁周囲逆流(PVL)による溶血性貧血にて僧帽弁再置換術および右冠動脈へのグラフト閉塞に対しCABGを行った.左冠動脈起始部(LMT),右冠動脈(RCA)は完全に閉塞していたため,左冠動脈系は左内胸動脈(LITA)のみで灌流されており,右冠動脈系は側副血行路が発達することで灌流されていた.これに対し左前下行枝(LAD)末梢に大伏在静脈(SVG)にて心筋保護投与用の一時的グラフト吻合を行い,右冠動脈系には新たなバイパスグラフトから投与を行うことで問題なく心筋保護液を全体的に分布させることができた.心筋保護の最適な戦略は患者背景・状況によってさまざまで,患者に合った最適の心筋保護戦略を選択すべきである.

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