虚血性心疾患に伴う心室不整脈に対するデバイス治療

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タイトル別名
  • Device Therapy for Ventricular Arrhythmias in Patients with Ischemic Heart Disease

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抄録

欧米を中心に行われた虚血性心疾患を主とする大規模臨床試験では,植込み型除細動器(ICD)が収縮不全心において高い突然死予防効果を示すことが明らかにされている.また,心臓再同期療法(CRT)は慢性心不全患者の症状・生命予後を改善する有効な治療であるが,虚血性心筋症(ICM)患者では非虚血性に比して効果が限局的との報告もある.CRTのICM患者への有効な反応が得られれば,それに付随して抗不整脈作用も期待されるが,ICM患者における致死性不整脈予防効果には一定した見解がない.そこで,ICM患者に対するICDおよびCRTの選択という観点で,両者の位置付けを再考すべく,自施設での症例を対象に症例背景や予後の検討を行った.後ろ向きに検討したところ,左室駆出率が同等という条件下では,心不全がより軽症例・QRS幅の狭い例・突然死2次予防を目的とする例で,CRTよりもICDが選択されていた.平均観察期間871日間で,両群間に生存率や心不全回避率に差を認めなかった.致死性不整脈の発生に関しては,2次予防目的で植込みを行った患者では差が認められなかったが,1次予防目的に限定すると,CRT群で有意に低率であった.ICM患者の約半数でCRTへの有効な反応を示したが,慢性腎臓病,永続性心房細動,非左脚ブロック症例では,あまり効果がみられなかった.したがって,一定の条件を満たせば,ICMにおいてもCRTは有効であり,心不全に対する効果と同様に抗不整脈作用も期待される.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 34 (2), 137-143, 2014

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (20)*注記

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