家禽由来の有機質肥料におけるICP発光法による無機養分および重金属含有量の調査

書誌事項

タイトル別名
  • Elemental Analysis of Manures Obtained From Poultry House
  • カキン ユライ ノ ユウキシツ ヒリョウ ニ オケル ICP ハッコウホウ ニ ヨル ムキ ヨウブン オヨビ ジュウキンゾク ガンユウリョウ ノ チョウサ

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抄録

有機質肥料を活用した栽培試験の設計のため,日本国内で流通している家禽由来の有機質資材(羽毛粉および鶏糞)を取り寄せ,湿式灰化の後にICP発光法により元素分析を行なった。分析の結果,供試した羽毛粉(輸入品)1 製品から,20,000ppm(w/w)以上の高いレベルのクロム汚染を発見した。有害元素に汚染された有機質資材が肥料用として国内で流通している事実は注目されるべきである。有機質肥料の公定規格において,羽毛粉(蒸製毛粉)について定められている保証成分は窒素含量のみであり,有害成分に関する規定はないため,当該製品の流通は現行法では差し支えないだろう。しかし,有害重金属に高度に汚染された資材の農業利用は,農作物や農地周辺の環境汚染にもつながるおそれがあり望ましくない。ゆえに,有害元素汚染を受けた資材の流通を未然に防ぐために,有機質肥料の公定規格は有害元素の含有許容量を考慮するよう見直されるべきである。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 27 (4), 218-223, 2014

    社団法人 環境科学会

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