日本におけるグルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症

  • 菅野 仁
    東京女子医科大学 輸血・細胞プロセシング科
  • 小倉 浩美
    東京女子医科大学 輸血・細胞プロセシング科

書誌事項

タイトル別名
  • Glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency in Japan
  • ニホン ニ オケル グルコース-6-リンサン ダツスイソ コウソ イジョウショウ

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抄録

先天性溶血性貧血の一型である赤血球酵素異常症は,解糖系,五炭糖リン酸経路などの代謝系の酵素遺伝子に変異が生じて発症する単一遺伝子病である。われわれが2004~2013年に検査した先天性貧血患者数は487例であり,294例(60%)に病因を確定し得たが,先天性溶血性貧血症例247例のうちの82例(33%)がG6PD異常症であった。近年,国際結婚が増加していることを反映して,診断したG6PD異常症患者の52%は母親または祖先が外国人であった。日本人症例は新生児重症黄疸をきっかけに1歳までに診断されることが多く,外国人症例は急性溶血発作により6歳までに診断される傾向があった。診断時のG6PD活性,還元型グルタチオン濃度あるいは早発黄疸の有無では感染・薬剤・ソラマメ摂取による急性溶血発作型と慢性溶血性貧血型との鑑別は困難であった。我が国のG6PD異常症の遺伝子変異の多様性を鑑みると,G6PD活性値によるスクリーニングと遺伝子情報を基にした個別化医療の導入が必要と考えられる。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (7), 771-777, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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