虫垂杯細胞カルチノイドの1例

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  • A Case of Goblet Cell Carcinoid of the Appendix

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抄録

症例は52歳,男性.2013年1月下旬より下腹部痛が出現,近医にて1週間消炎剤,抗生剤の内服治療を施行していたが,改善がないため当院受診となった.来院時,WBC 12,300/µl,CRP 9.81 mg/dlと高値,CTにて虫垂腫大を認め急性虫垂炎と診断した.抗生剤の投与を行ったが,翌日の血液生化学所見はWBC 12,200/µl,CRP 12.52mg/dlと改善を認めず,腹痛も増悪したため虫垂切除術を施行した.病理組織検査にて杯細胞型カルチノイド,切除断端陽性と診断された.初回手術28日後に開腹したところ,後腹膜に播種と思われる結節を多数認めた.同結節の切除および回盲部切除術(D2郭清)を施行した.病理組織診断は杯細胞型カルチノイド,SE,N3,H0,P2,M0,Stage Ⅳであった.術後FOLFOX+bevacizumabによる化学療法を施行中である.虫垂杯細胞カルチノイドは内分泌細胞と粘液産生性の腺がん細胞に類似した組織学的特徴を有する稀な疾患であり,進行例ではリンパ節転移,腹膜播種をきたし予後不良である.本症例は初回手術より術後8カ月が経過した現在,肺,肝転移はなく,腹膜播種の増悪所見は認めていない.

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