結腸閉塞を契機に発見された膵尾部癌の1切除例

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  • A Resected Case of the Pancreatic Tail Cancer with Obstruction of the Large Intestine

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抄録

症例は70歳,男性.腹痛を主訴に来院した.腹部単純X線写真では著明な腸管ガス像が認められた.腹部造影CTにおいて,膵尾部に約6cm大の造影効果の乏しい腫瘤性病変が結腸脾彎曲部を巻き込むように存在し,同腫瘤より口側腸管は高度に拡張していた.下部消化管内視鏡検査では,結腸脾彎曲部に浸潤する病変が認められ,生検により管状腺癌と診断した.以上より横行結腸に直接浸潤を伴う膵尾部癌による腸閉塞と診断して開腹した.術中所見では,膵尾部に約6cm大の硬結がみられ,周囲臓器への直接浸潤が認められたため,多臓器合併切除を伴う根治切除術を施行した.病理組織学検査では,膵尾部原発の高分化型管状腺癌と診断された.術後はS-1による術後補助化学療法を行ったが,術11カ月後に癌死した.腸閉塞を契機に発見される膵癌は比較的稀ではあるが,膵尾部は結腸脾彎曲部と解剖学的に近接しており,腸閉塞の原因として膵尾部癌も念頭に置くべきである.腸閉塞をきたすような局所進行膵癌の予後は一般的に極めて不良であるため,重篤な術後合併症の危険を伴う進行膵癌に対する拡大手術の適応決定は慎重に行うべきと考えられた.

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