本能的認知機構による顔と天敵の識別 : 膝状体外視覚系の役割

  • 西条 寿夫
    富山大学大学院 医学薬学研究部 システム情動科学 JSPS アジアコアプログラム
  • 小野 武年
    富山大学大学院 医学薬学研究部 システム情動科学 JSPS アジアコアプログラム

書誌事項

タイトル別名
  • Recognition of faces and predators in the innate recognition system : a role of the extrageniculate visual system

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抄録

  霊長類を含めて脊椎動物は, 特定の視覚性物体 (天敵, 被捕食動物, 食物), 音 (鳴声), フェロモンなど, 生存に重要な特定刺激を, これまで一回も経験したことが無くても, 生後直後から学習無しに認知できる。これは, これら刺激の認知に関与する神経系が, 本能的認知機構として遺伝的に符号化されているからである。霊長類では, 網膜→上丘→視床枕→扁桃体 (あるいは連合野等) からなる膝状体外視覚系 (皮質下経路) が, 物体の本能的認知に関与し, サル視床枕や上丘には, 顔様パターンや霊長類の天敵であるヘビに応答するニューロンが存在する。これらニューロンの応答特性から, 膝状体外視覚系は顔や天敵の視覚情報を低解像度で処理して素早く検出することに関与していることが示唆された。以上から, 膝状体外視覚系が, 霊長類の脳の進化や乳児における脳発達に関与している可能性について述べる。

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