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抄録
腸管組織では,病原体に対するTh1/Th17応答は生体防御に機能する一方,腸内細菌や食事抗原に対する過剰なエフェクター応答は腸管炎症の発症につながるため厳密に制御される必要がある.我々はこれまでに,腸管粘膜固有層に局在するCX3CR1high制御性ミエロイド細胞がIL-10/Stat3依存的にT細胞の増殖を抑制することで腸管組織の恒常性維持に寄与することを報告している.近年,組織マクロファージや樹状細胞の分化に関与する転写因子および環境因子が報告されている.しかし,腸管CX3CR1high制御性ミエロイド細胞の分化・機能獲得に関与する因子については明らかになっていない.我々は,腸管CX3CR1high制御性ミエロイド細胞において転写因子Spi-Cおよび鉄代謝関連分子が高発現すること,鉄欠乏食投与マウスにおいてCX3CR1high制御性ミエロイド細胞が減少するとともに転写因子Spi-Cの発現が低下することを見い出した.また,鉄欠乏食投与マウスはDSS腸炎に対する感受性が高い一方,大腸Spi-C陽性CX3CR1high細胞の投与がDSS腸炎を抑制することを明らかにした.これらの結果より,食餌鉄依存的な転写因子Spi-Cの発現がCX3CR1high制御性ミエロイド細胞の維持において重要な役割を果たすとともに腸管恒常性維持において寄与することが示唆された.
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 38 (4), 270-270, 2015
日本臨床免疫学会