P6-010 腸管特異的CD4+T細胞による中枢神経炎症疾患の制御

  • 門脇 淳
    国立精神神経医療研究センター 免疫研究部 大阪大学医学部 神経内科
  • 佐賀 亮子
    国立精神神経医療研究センター 免疫研究部
  • 佐藤 和貴郎
    国立精神神経医療研究センター 免疫研究部
  • 林 幼偉
    国立精神神経医療研究センター 免疫研究部
  • 三宅 幸子
    順天堂大学医学系大学院 免疫学講座
  • 山村 隆
    国立精神神経医療研究センター 免疫研究部

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抄録

中枢神経ミエリンを障害する自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)の罹患者は近年日本で急激に増加しており,我々は食習慣の欧米化による腸内細菌の変化が重要な環境要因と考え研究を行っている.近年,腸内細菌によって誘導される腸管特異的T細胞が腸管外自己免疫疾患を調節しているとの知見が集積してきている.私達はMSのモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を自然発症するMOG(35-55)反応性T細胞受容体トランスジェニックマウスの腸を研究し,MOG(35-55)誘導性EAEに移入すると中枢神経炎症に遊走し,LAG3を高発現して炎症を抑制するCD4陽性‘regulatory IEL’を見出した.さらに我々はヒト末梢血における腸管特異的CD4+T細胞の性質を検討するため,腸管ホーミングレセプターであるCCR9に着目した.健常人,MS/視神経脊髄炎(NMO)患者の末梢血・髄液をフローサイトメーターを用いて解析したところ,CCR9+細胞はメモリーCD4+T細胞の約5%を構成し,中枢神経炎症遊走性のCCR6を高発現していた.さらに,NMO患者において,CCR9-T細胞はLAG3の発現をほとんど認めなかったのに対し,CCR9+T細胞は髄液中でLAG3を高発現することがわかった.以上より腸管免疫系は,腸管特異的CD4+T細胞におけるLAG3の発現を介して中枢神経炎症性疾患を制御している可能性が示唆された.

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