比較的稀な小児橈骨近位骨端線損傷の一例

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抄録

症例は11歳男児.体育館で転倒し受傷した.初診時,右肘関節の腫脹・疼痛を認めた.単純X線およびCTにて橈骨近位骨端部は上腕骨小頭の後方へ90度反転していた.単純MRIでは,上腕骨小頭骨挫傷・外側側副靭帯損傷・尺骨鉤状突起のtip fractureを認めた.右橈骨近位骨端線損傷Willkins分類Type Dの診断で受傷翌日に手術を行った.骨端部骨片の徒手整復は困難であり,観血的に整復し鋼線固定を行った.術後は原因不明の肝炎を併発し5週目で抜釘を行った.術後8ヶ月の現在,良好な骨癒合とともに可動域制限も認めなかった.自験例では,外側側副靭帯損傷・橈骨近位骨端線損傷・尺骨鉤状突起のtip fracture・肘関節脱臼が存在したことからterrible triad injuryに類似した損傷形態であり後外側回旋メカニズムによる脱臼機転の存在が示唆された.治療には愛護的な観血的整復が必要であり,今後も骨頭壊死や骨端線早期閉鎖の有無について長期的な経過観察が必要であると思われた.

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