外リンパ瘻症例の臨床的検討

DOI
  • 永井 賀子
    東京医科大学耳鼻咽喉科学分野 厚生中央病院耳鼻咽喉科
  • 萩原 晃
    東京医科大学耳鼻咽喉科学分野 厚生中央病院耳鼻咽喉科
  • 小川 恭生
    東京医科大学耳鼻咽喉科学分野
  • 斎藤 雄
    東京医科大学耳鼻咽喉科学分野
  • 鈴木 衞
    東京医科大学耳鼻咽喉科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • CLINICAL ANALYSIS OF PERILYMPHATIC FISTULA

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抄録

外リンパ瘻は, 明らかな原因や誘因がない症例では診断に苦慮することがある。 治療までの期間が短いほど聴力改善度が高いことが知られており, 早期診断は予後を左右する。 しかし, 診断に有用な検査の一つである瘻孔症状は全例が陽性となるわけではなく, 外リンパ液に特異的な蛋白である CTP (cochlin tomoprotein) の検出は非常に有用だが検査時間の問題がある。 今回我々は, 厚生中央病院耳鼻咽喉科で2010年1月から2012年10月までの間に, 試験的鼓室開放術を行い外リンパ瘻と診断した9症例を誘因の有無で比較し診断方法について検討した。<br> 誘因が明らかな例は5例, 誘因が明らかでない例は4例であった。 誘因は鼻かみ2例, 潜水1例, 耳かき1例, 力み1例であった。 術後は全症例で聴力は改善した。 術前は7例で患側向き眼振があった。 術後, 眼振は全例で1ヵ月以内に消失し, めまい感は消失した。<br> 外リンパ瘻は外リンパ液漏出の程度やタイミングによって症状, 検査所見が変化することがあり, 診断に難渋する場合がある。 そのため, 積極的な問診や詳細な診察を繰り返し行うことが非常に重要である。 今回の検討では, 患側耳向き眼振の持続が外リンパ瘻の眼振所見の特徴と考えられた。

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