テンの食性分析における頻度法とポイント枠法の比較

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  • 高槻 成紀
    麻布大学獣医学部野生動物学研究室 現所属:麻布大学麻布大学いのちの博物館
  • 安本 唯
    麻布大学獣医学部野生動物学研究室 現所属:株式会社秋葉牧場(成田ゆめ牧場)
  • 辻 大和
    京都大学霊長類研究所社会生態研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • A comparison between frequency and point-frame for fecal analysis of the Japanese marten <i>Martes melampus</i>
  • テン ノ ショクセイ ブンセキ ニ オケル ヒンドホウ ト ポイントワクホウ ノ ヒカク

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抄録

テン(ホンドテンMartes melampus melampus)の糞分析において頻度法とポイント枠法との関係を確認するために,289個の糞試料にもとづき,以下の検討をした.頻度法による12の食物カテゴリーの頻度%(頻度百分率)とポイント枠法によって得られた占有率の関係をみると,頻度%,占有率ともに大きい果実と,頻度%が60~70%で占有率が10%前後の昆虫,種子,茎・葉の3カテゴリーと,頻度%,占有率とも小さいその他の8カテゴリーに3分された.主要5カテゴリーをみると,種子,茎・葉,哺乳類は頻度%(x)-占有率(y)に相関があり,その勾配(y=axの定数a)は前2者では0.2未満であったのに対して,哺乳類では0.4と大きかった.果実と昆虫では頻度%と占有率に相関がなかった.これは果実と昆虫は供給量の季節変化が大きいためと考えた.以上より,テンの糞分析では頻度評価からおおまかに占有率評価を読み取ることができるが,昆虫,種子,茎・葉では過大評価になることに留意すべきであると結論した.

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 55 (2), 195-200, 2015

    日本哺乳類学会

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