光から色彩へ

  • 坂田 勝亮
    女子美術大学芸術学部美術学科芸術文化専攻

書誌事項

タイトル別名
  • From Ray to Colour
  • 光と色彩講座(第2講)光から色彩へ
  • ヒカリ ト シキサイ コウザ(ダイ2コウ)ヒカリ カラ シキサイ エ

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抄録

色は物質の性質でも電磁波の光学現象でもなく,人間の感覚という心理現象である。このため光と色は異なることがあるが,これは決して視覚が曖昧なのではなく,むしろ的確な光学情報の処理により最適な情報として利用できるよう知的ともいえる働きをしている。ここでは色覚処理の初期段階である網膜上に起因する現象であると考えられる順応から,記憶や言語認識などの高次過程と考えられるレベルにまで色知覚のメカニズムが機能していることを例示しながら,色にまつわる人間の情報処理の心理メカニズムが複雑で多様性に富む働きをしていることを紹介する。そして色彩という不思議で素晴らしい現象が,われわれの高度に発達した中枢神経系によってもたらされていることをご理解いただくとともに,色彩という領域が心を扱う心理学と脳の働きを扱う脳科学との境界領域として,目覚ましい発展を遂げてきたことをご理解いただければ幸いである。

収録刊行物

  • 色材協会誌

    色材協会誌 88 (11), 395-400, 2015

    一般社団法人 色材協会

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