NETs と血管炎

  • 石津 明洋
    北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野

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タイトル別名
  • Neutrophil extracellular traps involved in pathogenesis of vasculitis

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抄録

要約:感染刺激を受けた好中球は活性化され,やがて細胞死に至る.その際,好中球はDNA と細胞質内タンパクを混合し,これを細胞外に網状に放出する.これが好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)である.NETs は感染防御において重要な役割を果たしているものの,細胞外に放出されたミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase: MPO)などの細胞質内タンパクは自身を障害する恐れもあるため,生体内におけるNETs の形成は厳密に制御されている.しかしながら,何らかの原因でNETs が適切に除去されない状況では,MPO に対するトレランスの破綻が誘導され,血管炎惹起性自己抗体であるMPO-ANCA が産生される.また,産生されたMPO-ANCAにはNETs 誘導活性があるため,MPO-ANCA 関連血管炎ではNETs とANCAを介した悪循環が形成されている.NETs はANCA 関連血管炎の病因ならびに病態形成に重要な役割を果たしている.

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参考文献 (25)*注記

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