学校体育における教育学的ケアリングの地平

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タイトル別名
  • Perspective of Educational Caring in physical education

抄録

本研究ではポストモダン社会での学校体育における教育学的ケアリングの地平を明らかにすることを目的としている。<br>近年,ケアを希求する子どもが増加の一途であるが,現在進行している学校改革はディシプリン準拠型のカリキュラムであり,むしろケアの視点を削いでいる。それは,産業社会時代の 「発達としての教育」 の再燃だといえるが,ポストモダン社会では 「生成としての教育」 を実践する学校が求められているのである。<br>ケアの先駆者であるノディングズとメイヤロフのケア/ケアリングを再検討した結果,多様な他者と 「差異中の同一性」 によるかかわりあいが希求されており,その関係こそが教育学的ケアリングであることが明らかとなった。それらの考察をもとに,ポストモダン社会における体育については次のような考察がなされた。<br>「いま-ここ」 に生成されるスポーツ/運動世界に没頭し,意味生成を誘発する授業デザインが必要となる。 そのような 「生成としての教育」 に依拠する学校体育と教育学的ケアリングは関連が高いと考えられる。<br>すべての子どもがスポーツ/運動世界に没頭できるようにするためには,モノ自体にケアのメッセージを込めることが肝要である。加えて,他者である教師やクラスメイトによる心を砕いた専心的なケアをすることが重要となる。また,他者の 「憧れに憧れること」 もまたケアリングにおいて重要である。学校体育における教育学的ケアリングの地平は,自己と他者とスポーツ/運動世界との三位一体のやわらかな関係構築のプロセスそのものである。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205346464640
  • NII論文ID
    130005130557
  • DOI
    10.11206/japew.31.1
  • ISSN
    21853401
    18820980
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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