要支援高齢者における介護保険サービス利用パターンと虚弱性との関連性

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  • Association between Service Utilization Patterns and Frailty in the Elderly Certified at the Support Level in the Long-term Care Insurance System
  • ヨウ シエン コウレイシャ ニ オケル カイゴ ホケン サービス リヨウ パターン ト キョジャクセイ ト ノ カンレンセイ

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抄録

目的 本研究では,要支援高齢者における介護保険サービスの利用パターン(以下,サービス利用パターン)と虚弱性との関連性を明らかにした。<br/>方法 対象者は,I 市における2014年 8 月末時点の要支援高齢者全1,033人である。うち,家庭訪問調査によるデータが得られた710人を分析対象者とした。虚弱性の指標として,介護予防チェックリストによる包括的虚弱の他,握力,BMI,抑うつ,認知機能を含めた。分析方法は,対象者のサービス利用パターンを①訪問介護のみ利用群,②通所介護のみ利用群,③訪問介護&通所介護利用群,④他サービス併用・利用群(訪問介護,通所介護の利用者および未利用者で,他の介護保険サービスを1つ以上利用する者),⑤未利用群,に分類した上で,基本属性等で調整したロジスティック回帰分析にて,他サービス併用・利用群を基準としたオッズ比(以下,OR)を算出し,サービス利用パターンと虚弱性との関連性を検討した。<br/>結果 対象者710人(100%)のサービス利用パターンは,訪問介護のみ利用群が17.9%,通所介護のみ利用群が15.6%,訪問介護&通所介護利用群が13.1%,他サービス併用・利用群が27.0%,未利用群が26.3%,であった。ロジスティック回帰分析の結果,他サービス併用・利用群(OR=1.00)に比べ,通所介護のみ利用群は,包括的虚弱ありの OR が0.57(95%CI:0.34-0.95),握力低下ありの OR が0.59(95%CI:0.35-1.00)であった。また,未利用群では,包括的虚弱ありの OR が0.50(95%CI:0.32-0.79),握力低下ありの OR が0.58(95%CI:0.37-0.91)であった。一方,訪問介護のみ利用群では,握力低下ありの OR が1.91(95%CI:1.11-3.29)であった。<br/>結論 本研究では,他サービス併用・利用者に比べ,通所介護のみ利用者,およびサービス未利用者には包括的虚弱者,握力低下者が少ない一方,訪問介護のみ利用者には握力低下者が多いことが明らかになった。よって,要支援高齢者等への地域資源や支援の提供では,このような対象者のサービス利用パターンによる虚弱性の特徴を考慮する必要があることが示唆された。

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