心室中隔基部の菲薄化を認めた抗ミトコンドリアM2抗体陽性筋炎の1例

Abstract

48 歳女性。37 歳時,第 2 子出産後に心不全を発症。心筋生検組 織所見は拡張型心筋症に一致。一方,肝胆道系酵素の上昇を認め, 抗ミトコンドリア M2 抗体陽性であり原発性胆汁性肝硬変と診断 された。同時期に四肢脱力を自覚し,CK 値の高値を認めた。ジ ストロフィン遺伝子に異常を認めず,筋生検組織に炎症細胞浸潤 を認め多発筋炎と診断。プレドニゾロンで治療開始。 39 歳時に CK 高値が遷延し当院神経内科紹介,タクロリムスを併 用開始。左室駆出率 32%の左室機能障害について当科紹介となっ た。心室中隔基部の菲薄化を認め,心サルコイドーシスの鑑別が 議論となったが,多発筋炎に対する免疫抑制療法および心不全治 療を継続する方針とした。 外来通院中に心房細動を発症,非持続性心室頻拍,完全左脚ブロ ックを認め,NYHA III 度の慢性心不全であり,除細動機能付き 心臓再同期療法の適応となった。 左室機能障害例において抗ミトコンドリア抗体陽性例が報告され ている。抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎では心伝導傷害や不整脈 の合併例,筋病理所見で肉芽腫性炎症を認める例があり,多様性 を呈する病態について文献的考察を加えて報告する。

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