位相差トラッキング法

  • 宮下 進
    獨協医科大学総合周産期母子医療センター産科部門 東北大学大学院先進成育医学講座胎児医学分野
  • 室月 淳
    東北大学大学院先進成育医学講座胎児医学分野 宮城県立こども病院産科
  • 室本 仁
    東北大学大学院先進成育医学講座胎児医学分野 宮城県立こども病院産科
  • 小澤 克典
    東北大学大学院先進成育医学講座胎児医学分野 国立成育医療研究センター胎児診療科
  • 長谷川 英之
    富山大学大学院理工学研究部
  • 金井 浩
    東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Phased-tracking method

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抄録

位相差トラッキング法(phased-tracking method)は,東北大学大学院工学研究科の金井らにより開発された,微細な運動計測を可能とする次世代の超音波計測モードである.超音波探触子からの送受信により,運動している関心点の変位を観測するためには,受信信号のフレーム間の受信遅延時間の変化を検出する必要がある.位相差トラッキング法では受信した超音波RF信号の直交検波信号に相関法を適用して受信信号の位相偏移を推定することで受信信号の遅延時間の変化を高精度に検出し,関心点の微細な運動計測と追跡が可能となる.この方法では波長の制限を受けないため,高精度での計測が可能である.非侵襲的な高精度計測という特性を活かして,成人領域では動脈壁の弾性特性の推定などに応用されており,今後は胎児の循環動態評価に応用が期待される.筆者らは正常および発育不全胎児における下行大動脈の血管内径変動と,脈波伝播速度計測に位相差トラッキング法を応用し,さらに脈圧推定を試みた.発育不全胎児では脈波伝播速度と推定脈圧は有意に大きく,胎児期からの血管壁構造リモデリングによる壁特性(コンプライアンス)の変化を観察している可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 43 (3), 483-490, 2016

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (12)*注記

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