利根川低地における「弥生の小海退」の検証

  • 田辺 晋
    産業技術総合研究所地質調査総合センター 東京大学大学院新領域創成科学研究科
  • 堀 和明
    名古屋大学大学院環境学研究科
  • 百原 新
    千葉大学大学院園芸学研究科
  • 中島 礼
    産業技術総合研究所地質調査総合センター

書誌事項

タイトル別名
  • Verification of the “Yayoi regression” in the Tonegawa Lowland, central Japan
  • トネガワ テイチ ニ オケル 「 ヤヨイ ノ コウミタイ 」 ノ ケンショウ

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抄録

日本列島における「弥生の小海退」は,その存在が認められる地域と認められない地域が明確になっておらず,その存在が報告された地域においても,海水準インデックス・ポイントが連続的に得られていないことに問題がある.筆者らは,利根川低地最奥部において,水深が約1~2mと推定され,3~2cal kyr BPの海水準上昇に伴って形成されたと考えられる湖沼堆積物を発見した.その堆積年代と分布深度は,水深を推定値の最大の2mと仮定しても,海水準が3.0cal kyr BPには標高-2.2mまで低下したことを示す.この低下量は予想される圧密の総和よりも大きく,また,周辺では大規模なテクトニックな地殻変動は考えにくい.したがって,この事象は利根川低地最奥部に「弥生の小海退」が存在したことを意味する.このような相対的海水準低下の要因としては堆積物荷重の影響を今後最も検討しなければならない.

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 122 (4), 135-153, 2016-04-15

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (13)*注記

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参考文献 (43)*注記

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