大都市近郊農家の事業選択と学校給食への出荷行動:-東京都日野市内における地場農産物需給システムを対象として-  [in Japanese] Multi-Enterprise Business and Distribution Behaviors of Farms for the School Lunch in Sub-urban Areas:Studies on Supply-Demand System of Local Produce for the School Meals in Hino City, Tokyo  [in Japanese]

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学校給食は,通常の市場流通と異なり,購入側(学校)の予算制約が強い,給食に適した規格が必要,需要量の価格弾力性が小さい,教育的・公共的な配慮が要求されるといった特性があり,市場に任せていては最適な需給を達成することが難しい。たとえば,農林水産省の調査によると,学校給食で地場農産物を利用するための課題として,「量がそろわない」「種類が少ない」「規格等が不揃い」といった項目への指摘が多い。表1に,学校給食における地場産食材および農産物の利用率について整理した。地場農産物の需給バランスについて立地の視点から類型化すると,都心から順にi) 農地がほとんどなく恒常的に地場農産物の調達が困難な都心部,ii) 生徒数に比べて生産量が限られるため調達に問題を抱える近郊地域,iii) 生産量の多い近郊農村,とに分けて考えることができる。東京都を例にとると都心部(東京都区部)では,増加傾向にあるとはいえ,同一区内産食材を給食で利用する学校数は4割程度であり,都内産でも8割に満たない。一方,近郊地域(都内市町村)では,95%以上の学校で同一市町村産の食材が使用されている。しかし,品目数でみると,東京都の小中学校給食での利用率(2005年2.4%)は,全国(同23.7%)を大きく下回っており,都心部だけでなく近郊地域でも,恒常的な地場産食材の確保が容易でないことが分かる。このような中,近郊地域に相当する東京都日野市では,30年間に及び,市内産農産物の学校給食への利用を進めており,市内産の割合(青果物)は2009年には24.7%に達し,先進的とされる市町村の値と遜色ない水準であった。しかし,近年は供給量が減少し,利用率は16.9%(2012年,日野市資料)に留まる。内藤が指摘したように,都市部での地場産食材の学校給食への利用に関する研究成果は少ない。藤田は,都市地域においては,生産供給力が伴わないことが最大の問題である中で,大阪府内では,JAと学校とが給食に関する意見交換会や連絡協議会を設けて,利用を促進している自治体が多いことを指摘している。尾高は,農林水産省による小中学校を対象とした調査結果をもとに,野菜の産地でない都道府県では,給食向け農産物の調達面での課題が大きいことを示した。内藤は,大阪府内13市へのヒアリング調査から,「統一献立」,「共同購入」が中心である府下の学校給食においても,農政部局による仲介や出荷品目のとりまとめ,生産者の組織化,市の助成により集出荷業務の負担を軽減する施策によって,地場農産物の利用が促進されていることを指摘している。山田・野見山,山田は,都市部と農村部を含む4市町でのヒアリング調査から,生産者と学校とを仲介する組織が,出荷量の調整,会計業務,配送作業を担うことにより,給食への需要に応えられるようになると指摘している。しかしながら,このように供給面に問題があることが指摘されていながらも,学校給食への出荷が都市部の生産者にとっていかなる意義を持ち,各種施策の下でどの程度の地場農産物の確保が見込めるかということについて,実証的に示した研究はみられない。一般に,大都市近郊地域の多くの農家は,不動産所得に依存する一方で,相続税の支払いのためにその都度農地を売却している。したがって,農業だけでなく不動産事業の状況が,学校給食への出荷をはじめとする農業経営の行動に影響をもたらすと考えられる。そこで本稿では,東京都日野市における学校給食への地場農産物需給システムを整理した上で,同市内農家へのアンケート調査を実施し,農業と不動産事業という事業選択の視点から農家を類型化し,類型別の学校給食への関わり方および評価の差異を明らかにする。これにより,供給量が限定される大都市近郊における学校給食での地場農産物利用についての展望が可能となると考える。

The use of local produce in school lunches is encouraged despite supply limitations, especially in urban and suburban areas. We conducted a questionnaire-based survey of farms in Hino City, Tokyo, where the local government provides subsidies and an organized system for the use of local produce in school lunches. Most farm managers with large real estate income recognize school lunch as a social contribution activity, but they are not necessarily positive about continuing agriculture. Professional farms with less real estate income appreciate high prices with subsidies and are dissatisfied with small lot sizes. Therefore, school lunch procurement and subsidy allocations should be reconsidered to improve farm income and to guarantee local produce supply.

Journal

  • JOURNAL OF RURAL PLANNING ASSOCIATION

    JOURNAL OF RURAL PLANNING ASSOCIATION 34(1), 77-84, 2015

    THE ASSOCIATION OF RURAL PLANNING

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    130005160928
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00386889
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    journal article
  • ISSN
    0912-9731
  • NDL Article ID
    026601140
  • NDL Call No.
    Z18-1918
  • Data Source
    NDL  J-STAGE  JASI 
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