両側腎多発結節状腫瘤と多発脊椎転移病変を認めた前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫の1例

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  • A case of precursor B-cell lymphoblastic lymphoma with bilateral multiple nodular renal and multiple spinal involvements

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抄録

悪性リンパ腫において腎臓は浸潤頻度の高い臓器の一つである.症例は11歳男児.5日前から微熱,受診日未明より高熱と耐え難い腰背部痛を認めた.造影CTで両側腎に乏血性多発結節状腫瘤を,造影MRIでは多発骨髄病変を認めた.腎機能は正常で末梢血中に芽球や貧血・血小板減少・白血球増多を認めなかったが,画像と尿酸・LDH高値などから血液腫瘍も考慮し骨髄検査を施行した.有核細胞の10.8%に芽球を認め,表面抗原より前駆B細胞性リンパ芽球型リンパ腫(stage IV)と診断した.日本小児白血病リンパ腫研究グループの進行期小児リンパ芽球型リンパ腫に対するプロトコルに従い加療し,寛解を維持している.造影CTで腎に多発乏血性病変を認めた場合には様々な疾患の可能性があるが,診断時に5–10%の症例で腎浸潤を伴うとされる小児悪性リンパ腫も鑑別に挙げるべきである.

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