スギから放出される揮発性有機化合物のOH反応性測定および化学分析

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タイトル別名
  • OH Reactivity Measurement and Chemical Analyses of BVOCs Emitted from Sugi (<i>Cryptomeria japonica</i>)
  • スギ カラ ホウシュツ サレル キハツセイ ユウキ カゴウブツ ノ OH ハンノウセイ ソクテイ オヨビ カガク ブンセキ

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抄録

大気中の光化学オキシダントは、揮発性有機化合物とOHが反応し、NOXとの後続反応により生成する。そのため、人為起源のみならず植物起源の揮発性有機化合物 (以下BVOCs) についても数多くの研究がなされている。しかし、スギから放出されるBVOCsについては日本固有種であるがゆえに測定された例は少なく、特に総OH反応性測定に関しては研究例がない。そこで本研究ではスギから放出されるBVOCsについて総OH反応性測定および化学分析の観点から検討した。化学分析はガスクロマトグラフ水素炎イオン化法 (GC-FID) および陽子移動反応型質量分析法により23種類のBVOCsを測定し、得られた濃度から算出されたOH反応性の和と、総OH反応性測定装置により測定された総OH反応性を比較した。主要なBVOCsを測定したにもかかわらず、化学分析により測定した総OH反応性の説明率は38.8%に留まった。さらに、GC-FIDで検出されているが、化学物質が同定されていない未同定の化学成分がOH反応性にどの程度寄与するかを測定した。この方法により13種類の未同定BVOCsの存在が確認され、そのうちピーク強度が最大であったのはモノテルペン酸化体の一種であった。この成分は総OH反応性の18.1%を占めると推定され、その寄与を同定された成分と合わせると総OH反応性の56.9%を説明可能となった。

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 51 (2), 132-143, 2016

    公益社団法人 大気環境学会

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