就職の統計的ジェンダー差別における予言の自己成就

書誌事項

タイトル別名
  • The Self-fulfilling Prophecy in Statistical Gender Discrimination:
  • 就職の統計的ジェンダー差別における予言の自己成就 : 基本的なメカニズムとダイバーシティ施策の効果
  • シュウショク ノ トウケイテキ ジェンダー サベツ ニ オケル ヨゲン ノ ジコ ジョウジュ : キホンテキ ナ メカニズム ト ダイバーシティ シサク ノ コウカ
  • ―基本的なメカニズムとダイバーシティ施策の効果―
  • Its Basic Mechanism and the Effects of Diversity Policies

この論文をさがす

抄録

本稿の目的は,ジェンダーによる就職時の統計的差別において予言の自己成就を生み出す単純な社会的メカニズムを理解することである.分析の結果,仕事と家庭が両立できず共稼ぎ世帯の方が片稼ぎ世帯よりも家族生活全体の利得が低くなる低ワーク・ライフ・バランス社会において,求人数が求職者数を下回っているとき,企業が「女性は男性よりも離職しやすい」という予測(予言)に基づいて男性優先の統計的差別をおこなうと,その差別的採用自体が,実際に女性が離職しやすい状況を作り出してしまうことが示される.次に,男女平等な採用が企業にもたらすメリットに関する先行研究の指摘をふまえたうえで,企業が差別的な採用から男女平等な採用へ切り替えることが合理的になる条件を明らかにする.その条件の解釈を通じて,ワーク・ライフ・バランスの改善,雇用拡大やワークシェアリング,ポジティブアクションの促進,労働の質の変化といった社会経済的・政策的要因が,統計的差別の予言の自己成就のサイクルを断ちきる効果をもつことを明快に理解することができる.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ