富士山北麓における非木材林産物利用とそのブランディング

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  • 齋藤 暖生
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Utilization of Non-Timber Forest Products at Mt. Fuji and its Blanding

抄録

富士山およびその周辺地域は、名勝・天然記念物、国立公園のほか、近年では世界遺産に指定されるなど、その土地利用を制約しうる様々な制度がしかれてきた。いっぽうで富士山北麓地域は、土壌が貧弱なことに加え寒冷な気候のため、長らく広大な富士山域に資源が求められてきた。本研究では、特に非木材林産物の採取・利用に着目し、史資料調査および関係者への聞き取り調査により、近世から現代にいたるまでの富士山における資源利用の把握を試みた。その結果、現在規制のもっとも厳しい高山地帯においても、時代を通じて地元住民による資源採取が行われていること、この慣行の存在によって各種保護制度の下にあっても資源採取にレジティマシーが付与されてきたことが明らかとなった。さらに、採取物販売の際には、産地が富士山であるという特殊性を積極的に活かそうとされてきたことが明らかとなった。いっぽうで、慣行が理解されなくなる恐れや、地元住民による資源利用文化が途絶える恐れなどが指摘でき、保護地域制度化における資源活用戦略について議論を開始する時期に来ているといえる。本研究はJSPS科研費26570031の助成を受けた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680682670464
  • NII論文ID
    130005166556
  • DOI
    10.11519/jfsc.127.0_16
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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