先天性両側性傍シルビウス裂症候群が疑われる児に対するチームアプローチ

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タイトル別名
  • ~自発的経口摂取を目指して~

抄録

【目的】先天性両側性傍シルビウス裂症候群は,シルビウス裂周囲の構造異常により,上肢優位の痙性麻痺や嚥下困難,てんかん発作,高次脳機能障害を併発する。先行報告では,運動発達遅滞は少なく,仮性球麻痺や言語発達遅滞が報告されている。確定診断例が全国で約500例と非常に稀であり,リハビリテーションの介入報告は皆無に等しい。今回,同症例が疑われる児をNICU入室時から外来フォローまで担当し,他職種間の連携を心がけた結果,哺乳・摂食機能,運動機能面に発達が認められたのでここに報告する。【症例提示】在胎40週3日,出生体重3685gにて出生した女児であり全身の低筋緊張を認め,特に頭頚部が著明であった。出生3週間後よりNICUにてリハビリを開始し出生2ヶ月で自宅退院,その後,当院で1回/月の外来リハを開始し,現在は療育センターでのフォローも行っている。【経過と考察】NICU介入時,頭頸部の低緊張の為,十分な体重増加の為の哺乳量を経口摂取で確保することが難しく経鼻栄養管理であった。哺乳時の姿勢検討や,舌への感覚刺激入力,抗重力活動の促しを図り,哺乳頻度の調節を行った。また,スタッフ間でのポジショニングの周知や,哺乳時間にNICUへ出向きDr.,Ns,STと共に児の自発的経口摂取獲得に向けて何度もディスカッションを行なった。退院時は経口摂取が可能となったが,その後経口摂取量が伸びず現在経鼻栄養である。外来フォロー時は,哺乳時の姿勢や抱っこの仕方を母親に指導した。1歳10ヶ月で寝返りを獲得し,2歳現在は未定頸,腹臥位ではon elbowsで頭頸部挙上し保持可能,座位では頭頚部正中位保持が困難である。離乳食は嫌がり吐き出してしまうが,少量の重湯であれば自ら開口し飲水でき,徐々に経口摂取が可能になってきている。NICUから広がったチームの輪は,児の成長とともに形を変え外来でのSTとの強固な連携,そして療育施設のスタッフとも結びつきながら現在に至っている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680551098112
  • NII論文ID
    130005248184
  • DOI
    10.14900/cjpt.2014.0506
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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