心房頻拍との鑑別が必要だったATP感受性左前中隔副伝導路を介した正方向性房室回帰性頻拍の1例

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  • Orthodromic atrioventricular reciprocating tachycardia using am ATP-sensitive left anteroseptal accessory pathway mimicking atrial tachycardia

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抄録

<p> 症例は68歳, 男性. 再発性のnarrow QRS頻拍を認め, アデノシン三リン酸投与にてP波を伴わずに頻拍は停止した. 右室刺激時には房室結節を介する室房伝導が間欠的に見られるのみだったが, 心房刺激により高位右房を最早期興奮部位とする非持続性の頻拍が誘発された. イソプロテレノール投与後, 右室刺激時1 : 1室房伝導となったが, 心房興奮はHis束領域が早く, 心室の刺激部位を変更しても頻拍時の奇異的な心房興奮順序は再現できなかった. 傍His束ペーシングの結果, 逆伝導は房室結節パターンであった. 以上より心房頻拍を疑い, 心房興奮パターンより右房起源と考え, 頻拍中に右房をmappingすると, 最早期興奮部位は心房中隔であった. 同部位を通電したものの, 頻拍に影響を与えなかった. イソプロテレノール投与下で頻拍は持続性となったため, 頻拍中の心室オーバードライブペーシングを行うと頻拍は毎回停止しエントレインはできなかったが, QRS波がfusionしている段階で心房波を捕捉せずに停止しており, 頻拍機序は心房頻拍ではなく副伝導路を介する房室回帰性頻拍と考えられた. 左房をmappingすると左前中隔弁輪部に最早期興奮部位を認め, 同部位の通電にて頻拍は停止した.</p><p> 頻拍中, 奇異的な心房興奮パターンを示すnarrow QRS頻拍の鑑別において, 室房伝導が弱く, 心室刺激によって頻拍中の心房興奮パターンが再現不能でも, 本例のように副伝導路を介する房室回帰性頻拍が機序の場合があり, 注意が必要と考えられ, ここに報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 47 (SUPPL.2), S2_27-S2_34, 2015

    公益財団法人 日本心臓財団

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