自律訓練法が周術期患者の不安と疼痛に及ぼす影響

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タイトル別名
  • The Effect of Autogenic Training for Anxiety and Pain in Patients Undergoing Surgery
  • ジリツ クンレンホウ ガ シュウジュツキ カンジャ ノ フアン ト トウツウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

本研究の目的は,周術期にある患者に自律訓練法を用い,不安と疼痛への影響について,生理的指標と主観的指標により検討することである.<br/> 乳がんの手術を受ける 16名を,自律訓練法を行う群 (n=8) と対照群 (n=8) に振り分けた.評価指標として心拍変動 (heart rate variability : HRV),心拍数,血圧,状態 ・ 特性不安尺度 (State ‐Trait Anxiety Inventory : STAI),痛みの視覚的アナログ尺度 (Visual analogue scale : VAS) を用い,術後 18時間の鎮痛剤使用回数,内省報告を参考とした.介入群は,背景公式と標準練習第一公式までを3分間行い,対照群はその間閉眼安静とした.手術前日と術後3日間,介入の前後で比較した.<br/> HRVの高周波成分 (high frequency components : HF) の変化率は,術後1日目(p=0.046),と3日目 (p=0.021) において,対照群より介入群が有意に増加し,LF (low frequency components ) /HFの変化率および収縮期血圧および心拍数は有意差が認められなかった.<br/> 術後1日目の STAI状態不安に交互作用が認められ ( F ( 1,14) =5.675,p=0.032)対照群より介入群が有意に低下し,術後2日目は介入前後で介入群に主効果が認められ(F (1,14) =4.99,p=0.042),介入群では中等度の不安度になった.痛みの VASは術後3日間,介入群が介入前から継続して低かった.内省報告では,全員がリラックス反応とみられる状態になったことを報告した.術後 18時間の鎮痛剤使用回数に有意差は認められなかった (p=0.060).<br/> 自律訓練法は,術後患者の副交感神経活動を亢進させ,不安と痛みを緩和する可能性があることが示唆された.

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