ゼブラフィッシュを用いた亜ヒ酸の急性毒性に対するNrf2依存的防御機構の遺伝学的機能解析  [in Japanese] Genetic analysis of the Nrf2-dependent protection against acute arsenite toxicity in zebrafish  [in Japanese]

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Abstract

Nrf2は、さまざまな解毒酵素を誘導する活性をもち、多くのケミカルストレスに対する防御機能を構成している転写因子である。ヒ素化合物は、Nrf2が誘導するタンパク質群によって解毒される毒物の1つであり、その慢性毒性に対してNrf2が防御機能を発揮することはわかっていた。しかし、急性毒性に対するNrf2依存的防御を調べた研究は、細胞レベルではあるものの、哺乳類モデルでは難しく、生体レベルではこれまでなかった。そこで本研究では、亜ヒ酸ナトリウムの急性毒性に対するNrf2の防御機能解明を目的に、Nrf2変異ゼブラフィッシュ系統<i>nrf2a</i><i><sup>fh318</sup></i>を利用した解析を実施した。<br>まず、<i>nrf2a</i><i><sup>fh318</sup></i>系統の4日目幼魚を1 mMの亜ヒ酸ナトリウムに曝露し、12時間おきに死亡数を計数した。曝露後120時間までの生存時間は、野生型およびヘテロ変異型に比べ、ホモ変異型幼魚で有意に短かった。次に、1 mM亜ヒ酸で曝露したゼブラフィッシュ幼魚で誘導される各種遺伝子群の発現を、定量的RT-PCRおよび <i>in situ</i> hybridization法によって調べたところ、抗酸化遺伝子 <i>prdx1</i> および <i>gclc</i> と、3価のヒ素の代謝と排出に働く<i>gstp1</i>および <i>abcc2</i> の有意な発現量上昇が観察された。<i>nrf2a</i><i><sup>fh318</sup></i>系統を用いた解析から、これらの遺伝子誘導はNrf2依存的であることが示された。さらに、Nrf2活性化剤であるサルフォラフェンを、亜ヒ酸曝露前12時間処理すると、上記遺伝子群が誘導され、亜ヒ酸による致死性が改善されることがわかった。<br>以上の結果より、Nrf2が亜ヒ酸の急性毒性に対する防御に重要な役割をもつことが明らかとなった。さらに、こうした亜ヒ酸に応答したNrf2の防御機能および遺伝子誘導メカニズムが脊椎動物間に広く保存されていることも示唆された。

Journal

  • Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology

    Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology 43.1(0), P-159, 2016

    The Japanese Society of Toxicology

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