クリゾチニブ耐性癌性髄膜症にアレクチニブが著効し持続奏効を確認し得たALK融合遺伝子陽性肺癌の1例

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タイトル別名
  • The Dramatic and Long-lasting Effect of Alectinib Against Crizotinib-resistant Leptomeningeal Carcinomatosis in a Patient with ALK-positive Lung Cancer

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抄録

<p>背景.ALK融合遺伝子陽性非小細胞癌に対しALK阻害薬は有効な薬剤であるが,多くは耐性化する.また癌性髄膜症は治療抵抗性であり致死的転帰を辿る重篤な病態である.今回我々は,クリゾチニブ耐性髄膜症にアレクチニブが劇的に奏効し,その後も持続奏効した1例を経験したため報告する.症例.45歳女性.ALK融合遺伝子陽性肺腺癌(cT3N2M1b,OSS,stage IV)と診断し,カルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブ併用療法後のペメトレキセド,ベバシズマブ継続維持療法で部分奏効を得た.その後再発を認めクリゾチニブにより部分奏効を得たが,癌性髄膜症および肝転移の増大で病勢進行(progressive disease:PD)を認めた.アレクチニブにより両病変とも速やかな奏効を得たが,後に肝転移および原発巣は徐々に増悪し,Trousseau症候群による多発脳梗塞で死亡した.しかし,治療経過中,癌性髄膜症は死亡までの8ヶ月間再燃を認めなかった.結論.ALK陽性肺癌の癌性髄膜症においてアレクチニブは選択すべき薬剤であり,さらに他病変がPDでもbeyond PDとしてアレクチニブ継続投与が癌性髄膜症再燃の抑制に有益となる可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 56 (4), 263-267, 2016

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (10)*注記

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