Change of Urban Structure from Edo to Present periods and its Effect on Thermal and Wind Environments

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Other Title
  • 江戸東京の都市構造の変化が熱・風環境に与える影響
  • 都市計画への展開に向けて
  • Towards its Application to Urban Planning

Abstract

大都市圏都心部では、近年ヒートアイランド現象による熱環境の悪化が顕在化している。この問題の解決にあたっては、微地形や都市を構成する建物や緑地等の都市構造が、熱・風環境に与える影響に対する有効なデータベースの構築、評価手法の開発、科学的知見に基づく計画方法論が必要である。本講演は、東京都心部を対象に、江戸・明治期と現代の都市構造の変遷を分析するとともに、広範囲高解像度での熱・風環境の分析を行うことにより、生態環境と物的環境の双方の評価にもとづく都市計画の方法論の構築を試みたものである。得られた知見を以下にまとめる。 第一に、江戸・明治期と現代の建物・緑地の詳細データベースを構築し、東京都心部の都市形成の観点を踏まえ、微地形とその上部に展開する土地被覆の主要な組み合わせをランドスケープ・ユニットとして捉える枠組みを提示した。さらに、微地形によって規定されてきた土地被覆が、近代化以降に変容した過程を定量的・即地的に解明した。 第二に、広範囲高解像度の熱・風シミュレーションを実施し、上空部と地上付近の熱交換の変化を明らかとした。結果、高度50~100mで熱交換が活発であり、明治初期では、山の手台地にかけて谷筋に沿った水平方向の強風化した箇所で下降流が生じ、上空の冷気が地上付近に導入されていること(図1)、現代では、超高層建築の分布に応じて風下側では弱風域が、その合間に幅数100mの強風軸がストライプ状に分布し、強風軸の直下では上空の冷気の地上付近への導入が見られること(図2)等を明らかとした。 第三に、二時期の地上付近の熱・風環境の変化を規定する要因を、A.ランドスケープ・ユニット、B.隣接ユニットからの移流、C.上空との熱交換による移流の三点から明らかとした。結果、微地形―土地被覆分類を合わせたランドスケープ・ユニットは、広域的観点からの三次元的変化による海風との対応関係と内部の質(建築・緑地環境)による微細な気象との影響を相互に分析する上での、基礎的単位として有効であることが示された。 第四に、こうした要因分析により得られた知見を、都市計画として展開する手法を考案した。具体的には、まず、上記   3つの要因別の熱・風環境評価図を設定し、評価図を基に都市環境計画の展開のための緑地の保全・修復・創造の指針図を設定した。さらに、指針図と現行の都市緑地施策との比較分析を行い、より具体の施策への展開を例示した。 以上、本講演は、こうした場所固有の現象(ヒートアイランド)を明らかとする地理学的アプローチの上での課題、さらに明らかとなった現象を、時間軸を踏まえた都市計画的アプローチとして評価し、計画・政策へと展開する上での課題についてまとめ、議論を展開したい。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695115264
  • NII Article ID
    130005279860
  • DOI
    10.14866/ajg.2016a.0_100151
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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