無床総合病院精神科におけるリエゾンチームのあり方

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タイトル別名
  • Practice of psychiatry liaison teams at general hospitals without a specialized psychiatry inpatient unit

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抄録

<p>リエゾンチームの目的は,チーム医療のなかで患者の精神症状の改善や治療環境の精神医学的評価・検討を行うこと(患者対象),治療に関わるスタッフの心身の健康をサポートし,勤務意欲の向上,燃え尽きの防止を目指すこと(職員対象)である。本稿では,患者・家族,医療スタッフ,地域連携に分けて,当院のリエゾンチーム活動のプロセスを紹介し,無床総合病院精神科としてのリエゾンチームの機能と今後の展望について考えてみたい。 活動内容は,患者がこころ穏やかに入院生活をおくられるように,リエゾンチーム回診,リエゾンチームカンファレンスなどを行っている。患者と家族が自分自身のこころの状態に目を向けることができるようにパンフレットを作成している。職員向けには,せん妄などによる転倒・転落の防止,自殺防止や自殺事故後のメンタルサポート,暴言・暴力などによるワークプレイス・トラウマを受けた職員への対応マニュアルを作成している。また,マニュアルをコンパクトにまとめた5つのポケットガイドを運用している。院外に対しては,身体合併症治療病床を活用し,神戸市内の12カ所の精神科病院と連携し,精神科病院入院中の急性期身体疾患患者の治療を行っている。さらに,認知症治療連携として長田区医師会と連携し,認知症連携パスの運用を平成24年6月から開始している。 当院では,リエゾンチーム回診とカンファレンスで,早期の治療的介入とケアを計画し,必要な職種と連携するシステムができている。その過程で,対応マニュアルやガイドラインのポケットガイドを作成したことにより,精神科以外の医療スタッフが連携して早期から治療的な初期介入ができている。その結果,スタッフ自身の「こころのケア」に対する感受性やケアの向上が図られ,メンタルサポートは連携して全員が担っている。院外では,地域の医療スタッフに知識や情報を提供し,精神的ケアの普及と啓蒙を図ることで連携が少しずつ広がっている。開院当初から連携している身体合併症医療システムは,地域の精神科病院で生じた身体合併症治療にある程度の機能分担を果たしている。</p>

収録刊行物

  • 総合病院精神医学

    総合病院精神医学 25 (2), 130-143, 2013

    一般社団法人 日本総合病院精神医学会

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